蒸し暑い季節になってきました。
夏本番を前に、この梅雨の時期にそろそろわんちゃんをサマーカットにさせようと思っている方も多いと思います。
でもちょっと待ってください。
サマーカットは賛否両論です。健康なわんちゃんにとって必要なものではない、という考えや、暑さ対策では有効であるという考えもあります。
まず、サマーカットにする前にできることを考えてみましょう。
サマーカットはなぜいけない?
毛の長いわんちゃんを見て暑苦しそう、と思ってしまうのは仕方ないことです。
ですが、あの被毛は必要だから生えています。
犬の皮膚は人間の皮膚にくらべ薄く、外的刺激に弱い構造になっています。
皮膚を守るために、被毛というバリアがあるのです。
外的刺激、というのは紫外線や直射日光による熱、虫などです。
被毛が短いと直接皮膚に日光があたりかえって暑くなってしまったり、紫外線によるダメージを受けたりノミやダニなどの虫に刺されやすくなります。フィラリア症の原因である蚊もそうです。
そしてサマーカットで失敗した!という方の中に、「毛が生えてこなくなった」という声を多く聞きます。
原因はまだはっきりとは解明されていませんが、ホルモンバランスの乱れや、紫外線のダメージだと言われています。
また、「毛質が変わった」という声も聞きます。
これらは全て毛を短くしすぎていることが、そもそもの原因です。
これらの多くのリスクを抱えていることを踏まえて、それでもサマーカットにしたければすれば良いと思います。
毎年サマーカットにしているし、毛質は変わってもちゃんと生えるし!と思っていてもわんちゃんも年をとっています。
加齢によりホルモンバランスも崩れやすくなっているので、ある年から突然生えてこなくなる可能性があります。
皮膚病のわんちゃんで被毛を短くする方が健康でいられる場合や、老犬になりお手入れが難しくなってきた場合は、サマーカットが推奨されることもあります。
わんちゃんがいつも快適にいられる状態にしてあげたいですね。
サマーカットの前にできる暑さ対策
まず、毛を刈ればそれで良い、という考えは捨ててください。
1.ブラッシング
全犬種共通、飼い主さんが必ずしなければならないことです。
「忙しいから」「面倒だし」といってサボってませんか?
人間の生活の利便性を良くするために、人の手によって品種改良されたわんちゃんたちは、人の手無しでは生きていけません。
改良に改良を重ねたわんちゃんであればあるほどそう感じます。
お手入れも同じです。
毛の抜けるわんちゃん(毛の種類が二種類のダブルコート犬種)だと換毛期、というものが存在しますよね。
季節の変わり目は大変ですよね。毎日こまめにブラッシングをすることによって死毛(不要な毛)が取り除かれ、通気性もよくなります。
一方、毛の抜けないわんちゃん(毛の種類が一種類のシングルコート)でも、毛玉ができやすくブラッシングは欠かせません。毛玉は通気性を悪くし、皮膚病の原因にもなります。
2.お腹の毛を短くする
全体の毛を短くするサマーカットは最初に記述したように、直射日光の影響を受けやすくなります。
お腹、後ろ足の付け根当たりの毛を短くすっきりしてあげることで、少し体感温度を下げられると考えられています。
お腹には内臓があり、血液がたくさん密集しています。足の付け根には大きな血管も通っています。
その付近に熱がこもることを毛を刈って防ぐ、という方法です。
人間でも首を冷やせば全身冷えます。なぜなら首には大きな血管があり、そこの血液が冷やされるとその冷やされた血液が全身をめぐり、体温をさげてくれます。
わんちゃんでも同じことです。
お腹以外にも、汗を唯一かく足の裏や、垂れ耳の子の耳の裏の毛、などを刈り込んでしまう、という方法もあります。
湿気を溜め込んでしまわない対策になります。
ですが、バリカンの刺激に皮膚が負けてしまう子もいるので注意が必要です。
3.短くするのではなく、梳いてもらう
わんちゃんには皮膚に直接日光があたらない程度の長さの被毛が必要です。
なので
- ハサミで長さをあまり変えずに量だけ減らす
- ハサミで適度な長さに切りそろえてもらう
- ブラッシングやシャンプーで、家ではとりきれなかった死毛を取り除いてもらう
などの方法があります。
トリマーさんと相談して、カットの形を決めると良いと思います。
ゴールデンレトリバーなどの大型犬になってくると、必然的にトリミングの時間が長くなってしまうので、わんちゃんがくたびれてしまいます。
なので、複数のトリマーさんで手早く仕上げてくれるところを選ぶ、カットはお腹だけなど部分的で済ます、などの配慮が必要かと思います。老犬も同様です。
後々のストレスによる体調不良を防ぐためです。
まとめ
サマーカットにしたい、という気持ちを否定はしません。わんちゃんを大切に思う気持ちであるからです。
ですが後々にデメリットだと思われることがたくさん出てくる可能性があります。
そのデメリットを説明せずに、安易にサマーカットをしてしまうプロのトリマーさんも残念ながらいらっしゃいます。
飼い主さんとのコミュニケーションが少ないことが一つの原因です。
親身になって愛犬、飼い主さんともども付き合えるトリマーが良いトリマーさんです。
良いトリマーさんに出会えますよう、祈っています。
関連記事
ペットホテルに愛犬を預けるのが不安な方へ-預ける、その後の注意点